結論
保全業務をAI活用につなげるには、点検結果を紙に写す状態から、計測値と対応履歴をデータで残す状態へ変えること が先です。
IPAの「中小規模製造業の製造分野におけるDXのための事例調査報告書」では、大阪府の株式会社木幡計器製作所の取組が紹介されています。公開事例では、圧力計のIoT化、保全業務の自動化、計器・設備保全管理システム、後付けIoTセンサ・無線通信ユニットの開発が取り上げられています。
この事例は、既存製品をデジタル化し、顧客の保全業務の省力化という新しい価値につなげる参考になります。
公開事例の要点
木幡計器製作所は、圧力計などの計測・制御機器メーカーとして長く事業を続けてきた会社です。報告書では、保全業務で計測結果を人が紙に書き写している状況に着目し、計器のIoT化や保全管理システムの開発へ進んだことが紹介されています。
また、地元企業や関西の企業連携プロジェクトを通じて、IoT圧力計や後付けIoTセンサ・無線通信ユニットの開発に取り組んだ点も示されています。
AI活用に置き換えるポイント
この事例はIoT中心ですが、AI導入の土台として重要です。AIで異常傾向を見つけるには、計測値、点検日、設備状態、対応内容、故障履歴が蓄積されている必要があります。
保全業務で最初に整えるべき情報は次の通りです。
- 設備や計器のID
- 点検日時と計測値
- 正常範囲と異常判定
- 対応内容と担当者
- 故障や交換の履歴
これらが蓄積されると、AIは異常傾向の検知、点検優先度の整理、報告書の下書き、過去対応の検索に使いやすくなります。
中小企業が注意すべきこと
既存製品をIoT化して新規事業にする場合、技術開発だけでなく、導入先の運用負荷、通信環境、保守体制、データの権限管理まで設計する必要があります。
また、顧客の設備データを扱う場合は、どのデータを自社が取得するのか、顧客側に残すのか、分析結果をどう共有するのかを契約と運用で明確にすべきです。
参考にした公開事例
本記事は、IPA「中小規模製造業の製造分野におけるDXのための事例調査報告書」に掲載された木幡計器製作所の事例をもとに、中小企業向けにAI導入の観点で読み替えています。
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参考情報
この記事の制作・確認時に参照した情報です。制度、セキュリティ、個人情報、医療、法務、会計、採用など更新性や判断責任が高いテーマでは、公式情報・一次情報を優先します。
- IPA: 中小規模製造業の製造分野におけるDXのための事例調査報告書
IPAが国内の中小規模製造業14社を対象に、製造分野のDX推進事例を収集・分析した報告書。
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よくある質問
保全業務でAIを使う前に必要なことは何ですか?
点検対象、計測値、異常履歴、対応結果をデータとして残し、後から分析できる状態にすることです。
既存製品でもIoT化できますか?
可能な場合があります。既存計器や設備に後付けセンサや通信ユニットを組み合わせる考え方が参考になります。
小規模メーカーが新規事業化を狙うべきですか?
自社の強みと顧客の省力化課題が重なる場合は検討余地があります。ただし、まずは実証と保守体制を固めるべきです。